介護保険の負担限度額認定証制度の申請時の注意点と下準備 ~不正申請はバレるのか?~
介護保険の負担限度額認定とは、特別養護老人ホームなどの施設やショートステイを利用する一定以下の所得や預貯金等の方を対象に、食費と居住費の自己負担を軽減する制度です。 今回の解説は、制度の内容を紐解いていく事を目的としていませんので、詳しく知りたい方は厚生労働省からの公式案内と的確にまとめられている大手サイトと専門家の動画URLを載せておきますので、そちらをご覧下さい。
介護保険の負担限度額認定証とは? 施設数No.1老人ホーム検索サイトみんなの介護より 【5分でわかる】介護保険負担限度額認定とは。申請や段階について知っておこう!
さて、本ブログの本題、それは…『少しでも早い段階で、合法的に、不正申請ではなく、正当に介護保険の負担限度額認定の認定を受ける為にはどうすればいいか?』『小細工をして申請したらバレるのか?』という本音のトコロを深堀っていきたいと思います。正直、介護に直面している方にとっては、これが目前の切実な課題だと思います。
まず不正受給の罰則規定と申請の実情を確認していきます。
調査の方法とペナルティ
銀行照会:自治体は介護保険法に基づき、必要に応じて金融機関へ残高を直接照会することができます。同意書への署名・提出を求められ、隠蔽や名義変更(直前の引き出しや贈与など)は高確率で判明します。
不正が発覚した場合:認定が取り消され、それまでに軽減された食費・居住費の全額返還に加え、悪質な場合は最大2倍の加算金が課されることがあります。 介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場 中間とりまとめ(素案) 厚生労働省 令和8年9月29日
~厚生労働省の資料の要約~ 1. 現在の制度と課題
負担限度額認定を受けている人は約85万人(令和6年度末)。
申請時には、所得・世帯状況・預貯金等の資産を確認する。
基本的には本人の自己申告。
必要に応じて自治体が金融機関に預貯金を照会する。
不正が発覚した場合は、介護保険法に基づき給付費の返還等を求める。
つまり、現状は自己申告を基本としながら、自治体が必要に応じて金融機関に確認する仕組みです。
2. 自治体の調査実態(統計データ)
全国1,566自治体へのアンケート結果(回答率99.5%)では、次のことが分かりました。
項目 | 実績 |
負担限度額認定の申請 | 約109.4万件 |
認定された件数 | 約104.2万件 |
不認定となった件数 | 約5.2万件 |
金融機関への照会対象者 | 約3.45万人 |
金融機関への照会で不認定 | 3,778件 |
金融機関への照会は、申請者全員に行っているわけではありません。
また、金融機関からの回答日数は、
書面による照会:平均17日
オンライン照会:平均9.3日
3. 今後、国が進めようとしている事
ここがこの資料の重要な部分です。主に次の9項目が検討されています。
預貯金のオンライン照会拡大:金融機関への資産照会をデジタル化する。
非課税年金情報の連携:マイナンバーによる情報連携を活用する。
介護情報基盤の活用:介護関連情報を集約・共有する。
認定証の更新時期変更:自治体の事務負担を平準化する。
金融機関照会の効率化:疑義があるケースやサンプル調査などを活用する。
添付書類の簡素化:通帳コピーなどの提出頻度を減らす。
郵送・オンライン申請の促進
認定有効期間の2年間への延長:毎年の更新事務を減らす。
AI・RPAの活用:申請情報の入力や事務処理を自動化する。
この事実を踏まえて、僕の地元東村山市の資料を基に申請要件を確認していきます。

先に述べた通り、例えば預貯金が夫婦で2000万円、あるいは単身で1000万程度ある場合、「少しでも早く申請したい」と思うのが人情です。当時、僕はこの制度を知らなかったのですが、知っていたら我が家も父親が特養入居申請中だったので同じ事を考えたはずです。 画像左が申請要件ですが、この赤枠で囲った要件がいわゆる『小細工』をする余地がある規定です。上から順番にそれぞれの具体的な手法を挙げて解説していきます。 案 其の壱 世帯分離者への生前贈与
手法:主に子供に生前贈与する方法です。配偶者への贈与では、DVなどのような共同生活の事実が無いなどの特別な事情が無い限り、資産は合算されるので意味がありません。
結論:オススメしません。 根拠:特別養護老人ホーム等に入居を検討している方が、数百万単位のお金を生前贈与してしまうと後々介護費用が足りなくなる可能性があります。またたとえ家族であっても、将来の人間関係がどうなるかなど分かりません。生前贈与した後に犬猿の仲になってしまい、虎の子の介護資金を失ってしまう。などという事態は絶対に避けるべきです。
案 其の弐 新規銀行口座を隠し口座として作成・直前の資金移動
手法:新規口座を作成し、申請前に提出する口座の残高を減らす為に送金し、新規口座の書類は提出しない。
結論:オススメしません。
根拠:前提として、書類を提出しなくても銀行口座は捕捉される可能性があると考えて下さい。自治体は必要に応じて金融機関に預貯金等の照会を行うことができます。提出していない口座であっても確認される可能性があるため、隠し口座を前提とした申請はおすすめできません。だからといって地銀・信金や聞いたことのないような小規模金融機関では、その町に在住在勤でないと口座開設ができません。また2ヶ月分の記帳しか提出しないからといって、それを逆手にとった資金移動も役所に遡った照会をされると露見してしまいます。
案 其の参 タンス預金
手法:その名の通り『預貯金』を自宅保管する方法です。
結論:オススメしません。
根拠:残高自己申告で提出する書類が無いからといってこの手段を考える人もいるかもしれません。そもそもタンス預金は負担限度額認定の資産要件に含まれますし、これはまた別次元のリスクを背負う事になります。日本は災害が多い国なので、万が一被災したら多額の現金が消失したり、避難している間に火事場泥棒に遭う可能性もあります。なんなら災害関係なく空き巣や詐欺に遭うかもしれません。また性格次第ではありますが、手元に多額の現金があると出費が増える事にも繋がります。
案 其の肆 生命保険の活用①
手法:一時払いの変額保険・終身保険・年金保険による資産移転
結論:オススメしません。
根拠:規定には明確に生命保険は預貯金等の資産要件の対象外と記載があります。そこで、保険を活用した資産移転を提案されるケースも考えられ、以下の3種の一時払い保険を勧められるかもしれません。FPとして解説すると一時払い系の保険は一般的に手数料が比較的高いモノが多く、提案している保険屋が先行して利益を得て、消費者側にリスクを背負わせる契約なのです。無論満期まで維持すれば消費者利益が高まりますが…案 其の壱でも解説しましたが、今後どうなるかも分からないのに短期解約をすると元本割れをする契約に多額の資産を預けるのは得策ではありません。

案 其の伍 生命保険の活用②
手法:元本確保型保険による資産移転
結論:オススメしません。
根拠:最近発売されだした元本確保型の積立保険についてですが、例えば町田市の申請条件において、「定期預金と同じ性質の保険は資産とみなす」という記載があります。一般的に保険は資産要件に含まないとされていますが、この基準が他の市でも採用されると、最悪の場合明記されていなくても否認される要因になり得ます。
下記の保険は、いつ解約しても元本保証され、満期に向けて利息が増えていくのみで元本毀損の可能性が無い保険の具体例です。まさに銀行の定期預金と同性能の保険と言えます。町田市の保険の例外商品に該当する可能性がある商品と言えます。
🔹明治安田生命 『じぶんの積立』
🔹日本生命 『ちょこつみ』
🔹住友生命 『チャキン』
🔹太陽生命 『貯まる保険』
申請時に提出する通帳の写しに保険料の支払い履歴が記載されていなくても、自治体から追加資料や説明を求められる可能性があります。また、将来その資金を介護費用に充てる際には、資金の出所や移動経路について説明が必要になることも考えられます。

全ての手法に言える事ですが『これをやったから不正で認定されない』ということではなく、基本的な考えとして役所が受け入れられないのは、『負担限度額認定証を手に入れる為に小細工をした。』と判断される資金移動は否認される可能性が高いという事です。また認定証の申請は毎年行う必要があるので、一回の申請で誤魔化せたとしても後々露見する可能性が年々高まっていきます。仮に小細工をして資産を移動させたとしても、使う時は本人の口座に戻さないといけませんので、後半で身動きとれなくなってしまったり、最悪給付金の返還や加算金を科せられる事態になる事も予想されます。
しかしながら、専門家に相談するとのしないのとでは、申請の時期が大幅に変わってきたり、安心感があったりするのも事実です。資産要件を満たしていない方でも制度の理解を深めて、申請の為の準備を整える必要があります。士業と連携した対応が可能ですので、手遅れになる前に是非一度ご相談くださいませ。気になる相談料はなんと無料で対応可能です✨
介護費用の準備は、いざ介護が必要になってからでは選択肢が限られてしまうことがあります。元気なうちから制度を理解し、資産状況や家族構成に応じた準備を進めておくことが極めて大切です。



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